滲出性中耳炎
子どもが耳を気にしたり、耳が聞こえにくそうな様子をみせたりしていませんか?
それはもしすると、子どもが滲出性中耳炎(しんちゅつせいちゅうじえん)になっているサインかもしれません。
滲出性中耳炎は症状が分かりにくい一方、放っておくと手術が必要な中耳炎に発展したり、言葉やコミュニケーションの発達に悪影響を及ぼしたりする可能性があります。
今回はそんな厄介な滲出性中耳炎の症状や治療法、予防について詳しく解説します。
耳の病気の時に気になるプールとの付き合い方についてもご紹介するので、ぜひ参考にしてくださいね。
滲出性中耳炎とは鼓膜の奥に水がたまる病気
滲出性中耳炎は、鼓膜(こまく)の奥にある中耳(ちゅうじ)という部屋に水が溜まってしまう病気で、次のような病気が原因となって発症します。
・急性中耳炎
・のどや鼻の病気:風邪、副鼻腔炎(ちくのう症)、アレルギー性鼻炎、アデノイド
・そのほか:逆流性食道炎など
「耳の奥に水が溜まる」と聞くと、耳の穴から水や細菌が入っていくイメージがありますよね。
しかし耳の穴から奥に入っていくと鼓膜が耳の奥をふさぐように覆っているため、中耳にはたどり着けません。
耳の奥には耳管(じかん)という鼻の奥とつながる通り道があり、その通り道の働きが悪くなると滲出性中耳炎を発症します。
ですから、滲出性中耳炎は耳から細菌が入ることで発症するのではなく、鼻やのどの病気が原因で発症するのです。
特に乳児の滲出性中耳炎のうち50%は急性中耳炎が起きた後に発症します。
滲出性中耳炎の症状は?
滲出性中耳炎の症状は次のようなものです。
・難聴
・耳が詰まった感じがする
水の中にいると周りの音が聞こえにくくなるように、滲出性中耳炎でも耳の中の水が原因で音が聞こえにくくなってしまいます。
急性中耳炎のような熱が出たり痛みを訴えたりするというような症状は滲出性中耳では現れないため、子ども自身が症状を気付きにくく、訴えにくいということも特徴です。
ですから、周りにいる人が子どもの様子に注意してあげることが大切です。
特に次のような様子が見られるときには注意をしてあげてください。
・テレビに近づいたり、音量を大きくしたりする
・名前を読んでも気が付かない
・聞き返しが多い
・耳を触ったり頭を振ったりする
滲出性中耳炎の治療はどのように行われる?
滲出性中耳炎の治療では次のことを行います。
・鼻やのどの治療
・飲み薬の服用
・耳に空気を通す治療
・鼓膜の切開
・鼓膜喚起チューブの留置
滲出性中耳炎はのど、鼻の病気から発症することがあるため、のどや鼻の状態が悪い時に
は並行して治療をしていきます。
具体的には医師による鼻洗浄やネブライザーなどです。
飲み薬はカルボシステインという、中耳の液体を出しやすくしたり、副鼻腔炎をよくしたりする薬が特によく使われます。
他に、副鼻腔炎がある場合には抗菌薬、アレルギー性鼻炎がある場合にはヒスタミン薬など、こどもひとりひとりの状態に合わせた薬を処方します。
滲出性中耳炎は耳管の働きが悪くなっているのが原因の1つです。耳に空気を通す治療は、働きが悪くなった耳管をサポートとして行います。
医師が行うこともありますし、自宅でやっていただくこともあります。
治療を続けてもなかなか治療の項から現れないときには鼓膜を切ったり、切った部分にチューブを通したりする治療を行います。
この治療をすると中耳の中の水を外に出してあげることができ、治りを早める効果が期待できます。
鼓膜に処置をすると聞くと「将来耳が聞こえなくなってしまうのでは?」と不安になりますよね。
しかし鼓膜を切開してもほとんどの場合は自然にその穴はふさがってしまいます。
万が一ふさがらなかったとしても、その穴をふさぐ処置を行うのであまり深刻に考えなくて大丈夫です。
治療終了は自己判断しないで
滲出性中耳炎は完全に治るまで時間がかかる病気なので、治療を続けていると「まだ通院を続けないといけないのかしら?」と疑問に思うことがあるかもしれません。
滲出性中耳炎は症状があまりないので、周りの人が「もう大丈夫だろう」と判断して通院をやめてしまう患者さんもいます。
しかし、滲出性中耳炎を放置しておくと、癒着性中耳炎(ゆちゃくせいちゅうじえん)や真珠腫性中耳炎(しんじゅしゅせいちゅうじえん)など、より治りにくい中耳炎に進行し
、手術が必要になることもあります。
また、滲出性中耳炎が長引くことで難聴も続いてしまい、言葉やコミュニケーションの発達に影響する可能性もあります。
ですから、治療の終了については患者さんたちで判断するのではなく、医師の判断に従ってくださいね。
通院は続けても薬は途中でやめてしまうという患者さんもいますが、薬も同じように飲み続けるようにしてください。
治療途中で聞こえが悪くなったと感じる場合には、早めに再受診をお願いします。
滲出性中耳炎の予防するためには
滲出性中耳炎は、日々の生活のちょっとしたことに気を付けることで発症を予防できます。
以下のことに気をつけてみてくださいね。
・鼻すすりをしない
・鼻は優しくかむ(鼻をかめない子ども鼻吸いをしてあげる)
・おしゃぶりを使わない
・周りの大人が禁煙する
滲出性中耳炎のときにプールは入ってもいい?
耳や鼻の病気があるときにはプールはあまりよいものではありません。
とはいえ、最近はこどもの状態によってはプールも大丈夫と言われるようになってきました。
初めからダメだとあきらめず、主治医とよく相談してみてくださいね。
福岡市で滲出性中耳炎になったらみみ・はな・のどせがわクリニックへ!
滲出性中耳炎は症状が分かりにくいため、気付くのが遅れがちな病気です。
また、治療を受けていても「もう元気そうだから通院をやめてもいいかな」と自己判断で通院をやめてしまうことも多いです。
しかし滲出性中耳炎を放置すると手術が必要な中耳炎になってしまったり、子どもの発達に影響が出たりする可能性があります。
子どもが耳を気にするしぐさを見せたり、聞こえが悪そうと感じたりする場合には早めに耳鼻科を受診してくださいね。
みみ・はな・のど せがわクリニックでは子どもたちが笑顔で治療を受けられるような環境を心がけ、おもちゃや絵本、いちごなどの甘い香りがする薬などを用意しています。
当院の治療方針では、滲出性中耳炎の子どもであっても鼻炎が落ち着いているのであればプールに入る許可もしています。(継続的な通院は必要です。)
子どもの耳の状態が気になる際には、ぜひご相談ください。